「歌が上手くなるために、腹筋を鍛えなさい。」
「腹筋を鍛えると声量が上がります」
などと言う教えもよく聞きます。
はたまた
「腹筋があると音が固くなってしまう」
「腹筋は関係ない」
などと言う教えも聞きます。
はたして何が正解なのでしょうか。
その答えを1000人以上の生徒の声を変えてきたボイストレーナーの僕が解説します。
結論から言いますと、腹筋は呼吸筋の支えとなる筋肉です。
腹筋の意味があるなしに関しては、補助的に支えとなってくれる筋肉もある。
と言うくらいに頭に入れておいてください。
“腹筋”にもたくさん種類があります。
その中でも必要な筋肉、必要ではない筋肉があります。
その【必要な筋肉】を見つけるために、まずは呼吸についておさらいしましょう。
まず腹式呼吸とは、
図の【横隔膜】を下に下げることにより、肺の容積が膨らみ、結果内圧となり肺に空気が入ってきます。
この横隔膜の下には内臓などがあるので、その内臓たちが下に押し潰される形になるので結果お腹が膨らみます。
この“お腹が膨らむ”ことを腹式呼吸と呼ぶので間違われ安いのですが、実際お腹の表面の筋肉(腹直筋や腹斜筋)の働きで吸気しているわけではありません。“吸気”に関しては【腹筋】は必要ではないことがわかります。
ですので
お腹に力を入れて息を吸うのだけはやめてください。
それでは胸式呼吸とはどんな呼吸なのでしょう。
それは
図の【外肋間筋】の働きにより、肋骨と肋骨の間が広がり、胸郭が開いていきます。
その結果肺の容積が広がり、内圧になり空気が入ってきます。
そして内肋間筋、最内肋間筋の働きで元の戻り呼気していきます。
それでは【支えのある声】とはどんな声なのでしょうか。
それは息をしっかり吐くことが大切なのではなく、肺と声帯までの圧力を高めたまま出た声のことです。
わかりやすく【紙風船】を想像してください!
紙風船に【圧力】をかけようと思ったら、しっかり空気を入れて膨らませませんか?
この紙風船を“肺”だと思ってください。
要は、『紙風船のように肺がパンパンの状態を保ったまま声を出していく』これが支えとなり、しっかりと支えられた
大きくも優しくも自由自在にコントロールできる声となるのです。
さあ今回のまとめに入りましょう。
そう!腹筋はこの【紙風船】が萎んでいかないように支えていくために使うものなんです。
ですので腹筋で無理やり息を吐いたりするのは間違いです。
正しくは、肺が萎んでしまわないように、とどまる“静的”な腹筋(腹横筋の下部や体幹の筋肉)が必要となってきます。
腹筋を鍛える際には、
瞬発系の“動的”な腹筋を鍛えるのではなく、
支えとなる“静的”な腹筋を鍛えていきましょう。
歌う面での体幹のトレーニングはまた別の機会に記事にします!
楽しみにしててね!